日本ではスポーツのドーピングは、他国と比べてかなり少ない印象があります。
ところが、12月8日に女子駅伝の学生チーム(高校生)における、鉄剤の注射のドーピング?疑惑が スポーツ新聞各紙に報じられ、動揺が広がっています。
日本陸上競技連盟が、危険条項として発表した後も、引き続き注射を実行していた学生チームがあり、指導者のモラルも問われています。
この話題について詳しく書いてみたいと思います。
⇒ 女子駅伝の有名校のうち17校が鉄剤使用を暴露!学校名や病院名も明らかになるか!
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東日本の高校の女子駅伝の強豪チームが選手に注射を継続していた
2016年12月に高校駅伝の全国大会に出場した女子チームの選手及び担当医が「女子選手の5人全員が鉄剤の点滴や注射を受けていた」と証言したのです。
2016年の9月ごろより、ほとんど毎週、監督に病院に連れていかれ、血液検査などの事前検査も行わず、鉄剤の注射を投与していたというのです。
高校スポーツと言えば、選手の健康や将来のことを全く考慮せずに勝利至上主義に走ることが懸念されているところ。
日本陸上競技連盟も重い腰を上げたというところでしょうか?
日本陸連も鉄剤ドーピングには警告を発していたが…
2016年の4月に、日本陸上競技連盟は貧血治療用の鉄剤の注射について警告を行いました。
2015年に鉄分過剰摂取により、肝機能障害などを引き起こした事例が報告され、2016年の4月に警告を発したのです。
鉄剤の注射は、本来は鉄分不足による重賞の貧血治療が目的なのですが、持久力が高まることがあり、貧血になりやすい女子の長距離選手(女子駅伝含む)を中心に2000年ころから全国に広がりました。
日本陸連『アスリートの貧血対処7か条』とは?
⇒ https://www.jaaf.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/06/fe535333ee2d1b36305154aa5b0669eb.pdf
過剰に投与された鉄剤が内蔵に蓄積し、選手の体に悪影響が及ぶと注意を促したのです。
ところが新聞社の取材によると…
2016年4月に陸連の発表があったのですが、その年の9月から女子高校駅伝の強豪校が注射を継続して施注していたことがわかったのです。
陸連からの指導により、これらの高校は鉄剤の注射の使用を中止した、と回答しているようです。
ですが、陸上競技連盟はその他の強豪校でも引き続き使われている可能性があると憂慮しました。
そこで、本年の全国高校駅伝大会(2018年12月23日)の場で、改めて警告を発し、2019年の全国高校駅伝からは出場選手に血液検査の結果報告を義務付ける方針になります。
(本年は、厳重な検査はありませんが、東日本の高校女子駅伝のチームで上位成績を挙げるチームがありましたら、選手名や学校名は要注意ということでしょうか?)
2019年からは、かなり厳重な血液検査などのいわゆる”ドーピング検査”があると思われますので、違反したチームに対しては、選手名や学校名の公開も辞さずということではないかと思います。
東京オリンピックが迫っている現状からして、無理な選手指導は不正行為を助長するようなことにもなりかねません。
オリンピックの場で、強引な治療を施している選手が明るみに出たら、国際的な恥辱も免れ得ないのです。
勝つためなら手段を選ばない、強引で選手の健康や将来を考慮しない指導体制にも問題があります。
指導者の追放処分なども視野に入れて、安全で健全な競技環境の充実に注力してもらいたいと思います。
貧血治療に役立つ”食トレ”を見直すべき時代に
やたら多い練習量や脂ぎった精神論だけではどうにもならないほど、競技水準が上がっているのが今日の現状です。
健康に最大限に注意を払って質の高い練習をたくさん積むことが重要だと思います。
そして思い出されるのが、2012年に箱根駅伝を制覇した東洋大学の”食トレ”の話ですね。
東洋大学の駅伝チームでは、貧血にならないようにと、定期的に血液検査を施行し、その結果をもとに管理栄養士の食事指導を受けていたのですね。
上記の女子高校駅伝のチームのように、検査もろくにせずにどんどん鉄剤を投与していると過剰摂取になった場合、内臓に蓄積して思わぬ”副作用”を生じる可能性があります。
そして、貧血傾向が見いだされた場合は、東洋大学のように、すぐに治療用の医薬品に頼ることなく、まずは食事にて改善を図ることが理想と言えるのです。
未成年の女子選手に対して、無計画に鉄剤を投与するような愚は避けなければならないのです。