週刊新潮が特集した反捕鯨原理主義で、皮肉なことに、人食いサメとして知られているホオジロザメが急増し、オーストラリアでは海で人間が襲撃されていると言います。
ホオジロザメは、クジラの死骸を食べることで有名であり、クジラが増えすぎるとエサとなるクジラの死骸も増えます。
結果としては、ホオジロザメが増え放題となり、沿岸部にもホオジロザメが押し寄せてくるようになったのです。
スピルバーグ監督の出世作となった『ジョーズ』はホオジロザメを取り扱った名作映画ですが、あれに似た状況がオーストラリアの沿岸で起きているのです。
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ホオジロザメのおかげで地元の観光産業も悲鳴
『ジョーズ』では、海水浴場で成り立っているアメリカ東海岸にある田舎町の海水浴場でホオジロザメの被害とみられる女性の遺体が打ち上げられます。
これにて、海水浴場を閉鎖するかどうするか?
何しろ、夏は地場産業が海水浴場しかない小さな町ですので、遊泳禁止は街にとっては死活問題なわけですね。
町議会の横車を受け、無理やり遊泳禁止を解除すると、第2の犠牲者が…
ということで、ご関心がある方は、アカデミー賞映画になった『ジョーズ』を観てい頂くしかないわけですが、現地オーストラリアでも同じような状況が展開されているようです。
反捕鯨原理主義のせいで娘は死んだ
オーストラリア唯一の全国紙『オーストラリアン』は、フライデンバーグ環境大臣が7月31日にサーフィン中のサメ被害に遭った17歳少女の家族を見舞うニュースを報道します。
これによると、環境大臣は政府系研究所の科学産業研究機構に指示を出し、サメ襲撃事件の増加とクジラの生息数の増加の因果関係を調査するよう求めたということ。
ミナミセミクジラやザトウクジラが5月~12月の繁殖期に西オーストラリア沿岸に移動します。
冒頭で書いたように、クジラの死骸を求めてサメも移動し、西オーストラリア州では2000年以降、サメによる死亡事故が15件報告されているのです。
※ 要閲覧注意ですが『ホオジロザメ』で画像検索すると、ヤバい画像が引っかかってきます。
なぜにオーストラリアはクジラを珍重するのか?
オーストラリアでは、クジラを観光産業として使っているのです。
『ホエールウォッチング』というのは、ボートで海に漕ぎ出してクジラが潮を吹いたりする様子を眺める観光スタイルなわけです。
クジラが減って居なくなったら、食べられなくなる、という社会層があると思えばよいでしょう。
観光資源ですので、居なくなったら困りますし、他の動物とはちょっと別の扱いをするようになるわけです。
例えば、奈良公園で鹿鍋とかやったら、確実に反感を買います(たぶん)。
そんな感じで『クジラ様』は別格の扱いを受けていると思ってよさそうです。
ついでに日本の調査捕鯨も嫌われるのはなぜ?
商業捕鯨、すなわちクジラを捕って食用にして売るのは好かれない、というのは食習慣の違いもあると思います。
ところが、商業捕鯨でなく調査捕鯨で捕えたクジラは、解剖などの調査ののちにどうなるかご存知でしょうか?
実は、魚市場に並ぶのです!!!(ええっ!)
水産庁の調査船が捕ってきたクジラは、まわりまわって日本の食卓に上るのです。
これでは「話が違う!」と怒る人たちがいるのも無理はありません。
クジラは調査ののちに解体されると、食用になるのです。
環境団体などで「クジラを食用にするな!」と必死になっている人たちの神経を、まともに逆なですることになっているのですね。
水産庁は、ちゃっかり魚市場に卸してしまっているのです。
市場で売り出してしまうのですから、タダで卸すわけではないように思いますよね。
たぶん、儲けが出るのではないのか?と勘ぐってしまいます。
これは、どうして許されているのでしょうか?
調査捕鯨は疑似商業捕鯨ではないのか?
水産庁のホームページのクジラ問題を説明するページにこんな項目があります。
これによりますと、調査後の鯨肉は市場販売されるが、国際捕鯨取締条約に裏付けされているものということです。
つまり、捕獲したクジラは可能な限りは加工して使わなくてはならない、という規定が国際捕鯨取締条約にあるからなのです。
適当に廃棄したりしてはいけないわけですね。
しかし、クジラを動物として、別格視する人たちにはこの仕組みも納得がゆかないものなのだろうと思います。
水産庁のホームページには「調査捕鯨は、鯨類の調査のために行われているものであり、鯨肉を販売することを目的にして行われているものではありません」
こう書かれていますが、捕まえたクジラは結局、食用になるのですから「疑似商業捕鯨なり」と言われても反論しにくいわけです。
クジラだけでなく全てのサメ類も保護対象である
驚くべきことにオーストラリアでは、ホオジロザメを含むすべてのサメ類も保護の対象なのです。
クジラがどんどん増えて、それにつられて増えるサメも保護しているのです。
人食いサメが沿岸に押し寄せてくるのも当たり前なのです。
新潮にも書かれていますが、かといって、クジラやサメの命より人間の命が損なわれては…ということになろうかと思います。
オーストラリアが国策として反捕鯨
週刊新潮の記事にもありますが、オーストラリアが捕鯨に否定的な理由が2つあります。
一つは畜産大国なので、クジラ肉ではなく、なるべく牛・豚などが売れるようにという国益のため。
もう一つは、未だに白人国家だった名残りがあり、クジラやサメを食べるような東洋的な文化を叩くと国民の支持を得やすいことがあるようです。
だからと言って、人命よりクジラやサメの生命を優先しては…
目下、シロナガスクジラは絶滅に瀕しているものの、ミンククジラのように資源量としては豊富な種類もあります。
何が何でもクジラ保護としたばかりで弊害が多くても困ると思うのですね。
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